内窓に「防犯性能がある」って、本当ですか?
2026/10/28
「侵入抑止効果」と「CPマークの防犯性能」は分けて考えましょう
こんにちは、Rossiです。
先日、ある店舗で内窓の展示を見ていたときのことです。
内窓の性能を示す表示の中に、「防犯」というアイコンがありました。
さらに説明を聞いていると、
「内窓には防犯性能があります」
とのこと。
そこで私は、「ん?」となりました。
誤解のないように最初に申し上げておきますが、私は内窓を否定するつもりはまったくありません。
むしろ、断熱対策として非常に優れた方法だと思っています。
実際、わが家にも内窓を設置しています。
それでも「防犯性能があります」という説明には、少し引っ掛かりました。
なぜなら、展示されていたのは防犯合わせガラスなどを使用した特別な防犯仕様ではなく、一般的な内窓だったからです。
そこで、内窓メーカー自身は、防犯性能についてどのように説明しているのだろう?
改めて確認してみました。
1.メーカーが説明しているのは「侵入抑止効果」
例えばLIXILの内窓「インプラス」。
メーカーの公式サイトでは、防犯に関するメリットを現在、
「侵入抑止効果」として説明しています。
理由は非常に分かりやすいものです。
内窓を取り付けると、既存の外窓と内窓の二重窓になります。
当然、鍵も二つ。
つまり2ロックになります。
侵入する側から考えれば、一つの窓を突破すれば終わりではありません。
外窓を突破し、さらに内窓も突破する必要があります。
侵入するための手間と時間が増える。
その結果、侵入をあきらめさせる心理的な効果が期待できる。
という考え方です。
これは私もよく分かります。
LIXIL自身も「窓が二重になることで侵入までに時間がかかり、侵入をあきらめさせる心理効果が期待できる」と説明しています。
ですから、「内窓は防犯上まったく意味がない」という話ではありません。
問題は、その先です。
2.ただし「CPマーク」の防犯性能とは別です
ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。
一般的な内窓について説明されている「防犯」や「侵入抑止効果」は、
CPマークで示される防犯建物部品としての性能とは別の話です。
LIXILもインプラスについて、
「防犯建物部品に対応していません」
と明記しています。FAQでも、2重窓・2ロックによる防犯効果はあるものの、防犯建物部品(CPマーク)には対応していないと説明しています。
では、CPマークとは何でしょうか。
CPマークは、所定の防犯性能試験によって、侵入行為に対して一定時間以上抵抗できることなどが確認された「防犯性能の高い建物部品」に表示されるものです。LIXILの防犯ガイドでも、商品ごとに定められた試験で5分以上の抵抗時間が確認された防犯建物部品についてCPマークを説明しています。
つまり、
内窓を付けることで窓が二重になり、侵入に手間取らせること
と、
所定の防犯性能試験によって性能が確認された防犯建物部品であること
は、同じではありません。
ここは分けて考える必要があります。
3.「防犯」という一言では、違いが見えなくなる
私が店舗で引っ掛かったのは、ここでした。
「内窓には防犯性能があります」
と言われれば、一般のお客様はどう受け取るでしょうか。
「この窓そのものに、確認された防犯性能がある」
と受け取る方がいても不思議ではありません。
でもメーカーの説明を詳しく読んでみると、
2ロックになることで侵入までの時間を稼ぐ。
侵入をあきらめさせる心理効果が期待できる。
というものです。
なるほど。
それなら話は分かります。
内窓が一枚増えるわけですから、侵入者にとって邪魔になるのは間違いありません。
私の家にも内窓がありますから、その構造はよく分かります。
ただ、「侵入抑止効果があります」
と、「防犯性能があります」では、受け取る側の印象は少し違います。
まして、
「CPマークの防犯建物部品と同じような性能がある」
と理解してしまったら、それは違います。
4.防犯を主目的にするなら、もう一段考えたい
内窓を断熱目的で設置する。
その結果として2ロックになり、侵入抑止効果も期待できる。
これは、とてもいいと思います。
断熱性能を高めながら、防犯面でもプラスになる。
しかし、「防犯対策をするために内窓を付けたい」
という話になると、私はもう一段考えます。
例えば、防犯性能を持つ合わせガラスを使用する。
シャッターや雨戸を検討する。
窓の状況によっては、防犯フィルムを検討する。
開口部全体として、どのような侵入対策が必要なのかを考える。
実際、LIXILでも内窓に安全合わせガラスを組み合わせた仕様を案内しており、一般的な内窓の「2ロックによる侵入抑止」と、ガラスそのものの耐貫通性を分けて説明しています。
何を目的に内窓を付けるのか。
ここが大切だと思います。
5.こういう「言葉の広がり」は、フィルム業界にもあります
これは内窓だけの話ではありません。
私が長く関わってきた窓ガラスフィルムの業界でも、似たようなことがあります。
例えば「断熱フィルム」。
断熱フィルムには、室内の熱が窓から外へ逃げることを抑える性能があります。
これはきちんとした機能です。
メーカーも、熱の流出を抑え、暖房効率や室内環境の改善につながるものとして説明しています。例えば住友理工のリフレシャインも、冬は室内熱の流出を抑えることや、暖房時の消費電力削減についてデータを示しています。
しかし、「熱が逃げにくくなる」という話と、
「フィルムを貼れば部屋そのものが暖かくなる」という話は、まったく同じ意味ではありません。
分かりやすく説明しようとするほど、言葉は少しずつ強くなりがちです。
これは私たち販売する側も、気をつけなければならないことだと思っています。
6.「ある・ない」だけではなく、その中身を見てほしい
内窓には、侵入抑止効果が期待できます。
私はそれを否定しているわけではありません。
窓が二重になり、鍵が二つになる。
侵入者からすれば面倒な窓になります。
それも立派な防犯対策の一つだと思います。
ただし、「内窓だから防犯性能がある」
という一言だけで終わらせてしまうと、大切な部分が抜け落ちます。
その「防犯」は、
2ロックによる侵入抑止効果なのか。
それとも、
CPマークで示されるような、試験によって確認された防犯建物部品としての性能なのか。
同じ「防犯」という言葉でも、中身は違います。
これは内窓に限った話ではありません。
製品の性能を見るときには、
「効果がある・ない」だけではなく、何に対して、どのような根拠で、その効果があるのか。
そこまで一度見てみる。
私は、その方が製品を正しく選べると思っています。
そして販売する側も、
分かりやすく伝えることと、性能の意味を変えてしまうことは違う。
ここは忘れてはいけないと思います。
-Rossi
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