高伸プランニング株式会社

断熱フィルム実証試験 vol.1

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断熱フィルム実証試験 vol.1

Insulation Test  vol.1

施工ガラスと未施工ガラスの比較

断熱フィルムの効果を検証してみました

断熱フィルムは2010年以降、本格的に市場へ普及し始めた比較的新しいカテゴリーです。

しかし、実際の温度変化や製品ごとの違いを比較した公開データは意外に多くありません。

カタログには熱貫流率などの性能値が記載されていますが、それだけで効果をイメージすることは難しいのが現実です。

そこで当社では、ガラスとフィルム、ガラスサンドを用いた独自の簡易比較試験を実施し、断熱フィルムがどのような温度変化を示すのかを検証することにしました。

本レポートでは、数値だけでは見えにくい断熱フィルムの特性を、できるだけ分かりやすくご紹介します。

(注意)

本試験はJIS試験やメーカー試験ではありません。

実際の住宅窓ガラスは、ガラス種類・サイズ・サッシ・方位・室内外環境など様々な条件が影響します。

そのため、本試験結果は実際の建物性能を保証するものではなく、熱の蓄積と放熱の違いを確認するための参考データとしてご覧ください。

試験目的

本試験は、断熱フィルム施工ガラスとフィルム未施工ガラス(ブランク)の温度変化を比較し、断熱フィルムが熱の伝達および蓄熱挙動に与える影響を確認することを目的とする。

試験体

本試験では、円筒形グラス内にガラスサンドを充填し、開口部にフロートガラス5mmを設置した試験体を使用した。

試験体①は断熱フィルムTW36Aを施工した円筒グラス

試験体②はフィルム未施工円筒グラス(ブランク)

とし、両者の温度変化を比較した。

両試験体を同一条件で加熱・冷却し、温度変化の違いを比較する。

試験条件

容器:BOROSIL耐熱ガラスグラス

グラス寸法:高さ 約135mm、内径 約72mm

熱容量体:ガラスサンド 250g

加熱方法:湯煎加熱

湯面高さ:ガラスサンド上面より低い位置

内部温度測定:デジタル温度計

表面温度測定:放射温度計(シンワ測定73010)

熱容量体について

本試験では熱容量体としてガラスサンド250gを使用しています。

実際の住宅や建物では、床・壁・天井・家具などが熱を蓄え、時間をかけて放熱しています。

窓ガラスフィルムの効果を考える上では、ガラス単体だけでなく、こうした蓄熱体との熱のやり取りも重要な要素となります。

そのため本試験では、一定の熱容量を持つガラスサンドを使用し、熱源停止後の温度変化を比較しています。

フィルム施工条件

施工面:耐熱ガラスグラス内面

使用フィルム:リフレシャイン TW36A

フィルム施工位置

  上端:グラス口元から約10mm下

  下端:グラス底面から約55mm上

フィルム高さ:約70mm

フィルム幅:グラス内周に合わせて施工

熱容量体との位置関係

  ガラスサンド250g充填時の高さは約48mm。

  フィルム下端とガラスサンド上端との間隔は約7mm

試験方法

断熱性能比較試験 試験要領

加熱工程

1)円筒グラス内へガラスサンド250gを充填する。

2)デジタル温度計センサーを、フィルム施工ガラス中央付近に位置するよう調整する。

3)鍋に所定量の水を入れ加熱し、設定温度に達したら加熱を停止する。

4)鍋を加熱器から移動し、円筒グラスを同時に浸漬する。なお、水位はガラスサンド上面より低い位置とする。

5)ガラスサンド温度の上昇が安定するまで保持する。

6)円筒グラスを鍋から同時に取り出す。

7)鍋から取り出し後もガラスサンド内部の熱移動により温度上昇が継続するため、温度上昇が停止するまで放置する。

冷却工程

1)円筒グラスを発泡シート上に設置する。

2)ガラスサンド温度が最高温度に達し、温度上昇が停止したことを確認する。

3)「試験体①」および「試験体②」のガラスサンド温度が同等となった時点で、円筒グラスにコルクキャップを取り付ける。

4)1分経過後を測定開始時刻(0分)とする。

5)デジタル温度計によりグラス内部温度を測定する。

6)放射温度計によりグラス外表面温度を測定する。

7)温度低下の推移を1分間隔で記録する。

8)「試験体①」と「試験体②」の温度変化を比較する。

測定項目

◎グラス内部温度   デジタル温度計を使用し、フィルム施工部中央付近の空気温度変化を測定する。

◎グラス表面温度   放射温度計を使用し、グラス外表面温度の変化を測定する。

試験結果

予想していたほどの温度差は確認できなかった

リフレシャインTW36A施工品とブランク(フィルム未施工)について、加熱後の温度低下過程を比較した。

測定項目は、グラス内部空気温度およびガラス外部表面温度とした。

内部空気温度では、試験開始時にTW36A施工品がブランクより0.4℃高い値を示したが、その後差は徐々に縮小した。7分経過以降はほぼ同一の温度推移となり、32分経過時点でも差は0.2℃であった。

また、ガラス外部表面温度では、試験開始時にTW36A施工品がブランクより0.6℃低い値を示したものの、その後差は縮小し、後半は0.1~0.2℃程度の差で推移した。32分経過時点では両者ほぼ同等の温度となった。

今回の試験では、内部空気温度およびガラス外部表面温度のいずれにおいても、TW36A施工品とブランクとの間に大きな差は確認できなかった。

少なくとも本試験条件においては、断熱性能の優位性を誰が見ても分かる形で可視化することはできなかった。

正直に言えば、この結果は当初の予想とも異なっていた。

考察

断熱性能はどうやって証明するのか

今回の試験では、リフレシャインTW36A施工品とブランクの間に、明確な温度差は確認できなかった。

内部空気温度では、TW36A施工品がわずかに高い傾向を示す時間帯もあったが、その差は最大でも0.4℃程度であり、試験開始から7分以降はほぼ同一の温度推移となった。

また、外部表面温度についても、試験開始時にはTW36A施工品の方が低い値を示したものの、その後は差が縮小し、後半ではほぼ同等の推移となった。

この結果から、少なくとも今回の試験条件においては、TW36Aの断熱性能を明確に可視化することはできなかった。

ただし、これはTW36Aの断熱性能そのものを否定するものではない。今回の試験は湯煎後の温度低下を観察する簡易試験であり、熱の移動には伝導、対流、放射が複雑に関係している。

特に断熱フィルムの性能根拠として遠赤外線反射が関係する場合、今回のような湯煎による加熱・冷却試験では、その特徴が十分に現れにくかった可能性もある。

一方で、今回の試験によって明確になったこともある。

それは、断熱フィルムの性能を一般の方にも分かる形で可視化することは、想像以上に難しいという点である。

「暖かい」「熱を逃がしにくい」「断熱効果がある」という表現は分かりやすい。しかし、その性能をどのような熱移動として捉え、どのような試験で確認できるのかまで説明しなければ、断熱性能の本質は伝わりにくい。

今回の試験結果は、断熱フィルムの性能評価そのものよりも、断熱性能の説明方法に大きな課題があることを示していると感じた。

この試験で最も印象に残ったこと

この結果は当初の予想とは異なっていた。

正直に言うと、この結果は当初の予想とは異なっていた。

試験前は、TW36A施工品の方がもう少し明確な温度差を示すと考えていた。

しかし実際には、内部空気温度、外部表面温度ともに大きな差は確認できなかった。

私は以前から断熱フィルムの性能説明に違和感を持っていた。

「暖かい」

「熱を逃がしにくい」

「断熱効果がある」

もちろん間違いではないのだろう。

しかし今回の試験を通じて感じたのは、断熱性能そのものよりも、断熱性能を分かりやすく説明することの方が難しいという事実である。

今後の課題

断熱性能をどのように可視化するか

今回の試験では、TW36A施工品とブランクとの間に大きな温度差は確認できなかった。

一方で、本試験は湯煎による熱容量体の冷却過程を観察したものであり、断熱フィルムが訴求する性能を十分に評価できているかについては検討の余地がある。

特に遠赤外線反射による効果を評価する場合、今回とは異なる試験方法が必要となる可能性がある。

今後は熱源や測定方法を見直しながら、断熱フィルムの性能をより分かりやすく可視化できる試験方法について検討を続けたい。

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