「寄り添います」って、なんだ?
2026/11/02
こんにちは、Rossiです。
最近、いろいろな企業のホームページや広告で、こんな言葉をよく見かけます。
「お客様に寄り添います」
そして、
「心を込めて対応します」
「丁寧な施工をお約束します」
どれも耳触りのよい言葉です。
特に私たちと同じ窓ガラスフィルム施工業者のホームページでは、頻繁に見かけるようになりました。
ところで、以前から少し気になっていることがあります。
「寄り添います」って、具体的に何をすることなのでしょう?
今回は、そんな疑問について考えてみたいと思います。
言葉を具体的な仕組みにする
先日、ヤマダデンキのテレビCMを見ていて、なるほどと思ったことがありました。
「DX価格」という取り組みです。
競合するインターネット価格などを調査し、商品価格を見直す仕組みだそうです。
もちろん対象商品や条件はありますが、お客様が価格を比較する負担を減らし、納得して購入できるようにする取り組みと言えるでしょう。
これを見て、私は少し感心しました。
単に「お客様のために」と言うだけではなく、具体的な仕組みを用意している。
価格という、誰にでもわかりやすい物差しもあります。
言葉ではなく、何をするのか。
お客様に対する姿勢は、こうした取り組みにも表れるのだと思います。
施工店のホームページに並ぶ言葉
さて、私たちの業界に話を戻しましょう。
窓ガラスフィルム施工店のホームページを見ていると、トップページの目立つ場所に、こんな表示をよく見かけます。
「国家技能検定有資格者による施工」
「施工スタッフは技能検定有資格者」
「1級技能士が施工します」
そして、その後に続くのが、
「お客様に寄り添います」
「心を込めて施工します」
「親切・丁寧に対応します」
……どこかで見たような言葉が続きます。
もちろん、資格を持っていることは立派なことです。
建築ガラス用フィルム施工技能士は国家検定による資格であり、一定の基準に基づいて施工技能を評価するものです。
当社のホームページにも、資格については記載しています。
ただし、ひとつ考えていただきたいことがあります。
同じ資格を持つ施工店が何社もあった場合、お客様は何を基準に選べばよいのでしょう?
資格は客観的な評価の一つです。
しかし、その後に続く「寄り添います」「心を込めて」「丁寧に」という言葉には、比較できる明確な物差しがありません。
もちろん、実際に親切で丁寧な仕事をしている施工店も数多くあるでしょう。
ただ、それらの言葉だけでは、施工店ごとの違いが見えてこないのです。
資格だけでは答えられないこと
例えば、お客様からこんな相談をいただいたとします。
「この窓に遮熱フィルムを貼っても大丈夫でしょうか?」
これに対して、
「当社は1級技能士が施工しますので、ご安心ください」
と答えたとしたら、どうでしょう。
資格を持っていることはわかりました。
しかし、肝心の質問には答えていません。
まず確認するべきは、ガラスの種類や窓の方位、周囲の環境です。
場合によっては、フィルムを貼ることでガラスが熱割れする危険性もあります。
そのようなときは、施工をお勧めできないこともあります。
お客様が希望された製品だからといって、そのまま貼ればよいわけではありません。
寄り添った結果、熱割れ。
これではシャレにもなりませんからね。
資格は大切です。
でも、資格を持っていることと、目の前の窓について適切に判断できることは、必ずしも同じではありません。
そして、どれほど丁寧にフィルムを貼れても、製品選定を誤ってしまえば、お客様の期待に応えることはできません。
私たちは、あえて使っていません
実は、当社のホームページでは、
「寄り添います」
「心を込めて」
「丁寧に」
といった言葉を、意識して使わないようにしています。
別に、これらの言葉が嫌いなわけではありません。
お客様の立場で考えることも、丁寧な仕事をすることも、当然大切だと思っています。
ただ、それを自分たちで宣言することに、どうしても抵抗があるのです。
私たちが本当に丁寧だったのか。
お客様の希望を十分に理解できていたのか。
提案した製品は適切だったのか。
それを判断していただくのは、お客様ではないでしょうか。
「私たちは丁寧です」と言うのは簡単です。
でも、実際に丁寧だったかどうかは、仕事を終えた後に評価されるものだと思うのです。
専門業者として、何を示せるのか
私たちは、窓ガラスフィルムの施工を仕事にしている営利企業です。
当然、仕事をいただかなければ経営は成り立ちません。
だからこそ、お客様に選んでいただくための努力は必要です。
しかし、その努力が耳触りのよい言葉を並べることだけになってしまったら、少し寂しい気がします。
例えば、なぜそのフィルムを勧めるのか。
ほかの製品とは何が違うのか。
価格差に見合う性能はあるのか。
施工することで、どのような危険性が考えられるのか。
あるいは、そもそもその窓にフィルムが必要なのか。
私たちが説明するべきなのは、そうした具体的なことではないでしょうか。
お客様に選んでいただくことと、お客様任せにすることは違います。
専門業者である以上、自分たちなりの判断を持ち、その理由を説明する責任があります。
場合によっては、お客様の希望とは異なる意見を申し上げることもあるでしょう。
それでも、必要なことはお伝えしたい。
私は、そこに専門業者としての矜持があると思っています。
「寄り添います」と言う前に
ここまで書いてきましたが、「寄り添います」という言葉を使う会社を否定したいわけではありません。
それぞれの会社には、それぞれの考え方があるはずです。
ただ、同じような言葉が並ぶホームページを見ていると、ときどき思うのです。
その言葉を取り除いたとき、その会社ならではの強みは何が残るのでしょう?
資格も大切。
親切さも大切。
丁寧な施工も大切です。
でも、お客様が本当に知りたいのは、その先にあるものではないでしょうか。
私たち自身も、まだまだ勉強の毎日です。
自分たちの判断がいつも正しいとは限りません。
だからこそ、調べ、考え、必要ならば見直す。
そして、その過程や理由をできるだけわかりやすくお伝えする。
「寄り添っています」と自分で言うよりも、
「あの会社に相談してよかった」
そう思っていただける仕事をしたい。
寄り添っているかどうかは、自分たちで決めることではない。
結局のところ、そういうことなのだと思います。
言葉よりも、仕事で伝える。
私たちは、そんな施工店でありたいと思っています。
- Rossi
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