助成金を使わない方が安い? 足立区と杉並区で見えた意外な違い
2026/10/14
こんにちは、Rossiです。
今回は、窓ガラスフィルムの助成金について、少し踏み込んだお話をします。
皆さんは、助成金を利用すれば工事費用が安くなると思っていませんか?
もちろん、多くの場合はそのとおりです。
ところが、窓ガラスフィルムの世界では、必ずしもそうとは限りません。
助成金を使わない方が、結果的に安く済むことがあるのです。
そんなことがあるのか?
実は、あるんです。
私自身も最近のご相談を通じて、改めて考えさせられました。
同じフィルムでも、区によって制度が違う
私たち高伸プランニングは、足立区と杉並区の両方で、助成金を利用した窓ガラスフィルムの施工に携わってきました。
その経験から感じるのは、自治体の助成制度によって、製品選定の自由度が大きく違うということです。
例えば足立区。
足立区には、窓ガラスの飛散防止フィルムを対象とした助成制度があります。
この制度では、飛散防止性能を満たしていれば、遮熱や断熱といった付帯機能を持つフィルムも対象になります。
つまり、暑さ対策を目的とした遮熱フィルムでも、飛散防止性能などの条件を満たせば助成金を利用できるわけです。
しかも、遮熱・断熱性能について第三者機関の試験成績書を提出する必要はありません。
製品選定の自由度が比較的高い制度です。
一方、杉並区の省エネフィルム助成金は少し事情が異なります。
こちらでは、遮蔽係数や可視光線透過率などの性能要件に加え、第三者機関による性能の裏付けが求められます。
この違いが、実は大きいのです。
第三者試験という高いハードル
杉並区の2026年度の助成制度では、断熱フィルムについて次の性能要件が設けられています。
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遮蔽係数:0.7未満
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可視光線透過率:65%以上
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熱貫流率:5.9W/㎡K未満
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日射調整性能について適切な耐候性が確認されていること
さらに、性能を証明する資料として、建材試験センターが発行する試験結果報告書、または環境省ETV事業の実証済み技術一覧に掲載された資料などが指定されています。
第三者機関が製品の性能を確認している。
これは、消費者にとって大きな安心材料です。
行政が税金を使って製品の導入を支援する以上、こうした裏付けを求めることにも合理性があります。
ただし、問題はその費用です。
窓ガラスフィルムの第三者試験には、相応の費用がかかります。特に耐候性試験を含めると、メーカーにとって決して小さな負担ではありません。
かつては環境省の環境技術実証事業(ETV)を利用し、比較的低い費用で第三者実証を受けることができました。
そのため、中小メーカーも数多く参加していました。
しかし、環境省が公開している窓用日射遮蔽フィルムの実証資料については、2017年度以降の新しいものを確認できませんでした。
ETV事業そのものは現在も続いていますが、窓用フィルムについては、以前のような実証の機会が確認できない状況です。
こうした背景もあり、現在、助成金申請に必要な資料を用意できるメーカーは、大手が中心になりがちです。
性能が劣っているから助成対象にならないのではなく、必要な性能を証明する資料がないために対象になれない製品もある。
ここは、ぜひ知っていただきたいところです。
助成金をもらっても、安くならない?
大手メーカーのフィルムには、優れた製品が数多くあります。
その性能や信頼性を、私たちも高く評価しています。
ただし、価格も比較的高めです。
例えば、助成金を利用して高価なフィルムを施工する場合と、助成金を利用せずに別のフィルムを施工する場合。
最終的な自己負担額を比べると、後者の方が安くなることがあります。
もちろん、安ければ何でもよいという話ではありません。
第三者試験による裏付けがない製品では、性能や耐久性について確認できる情報が限られる場合があります。
その不確実性をどう評価するかも、製品選定の重要な要素です。
「信頼」をとるか、「経済性」をとるか。
簡単に答えが出る問題ではありません。
そして、その判断を一般のお客様だけに委ねるのも、少し無理があると思っています。
いつの間にか、目的が変わっていませんか?
実は最近、杉並区のお客様から省エネフィルムについてご相談をいただきました。
助成金を利用したいというご希望があり、私も対象となる製品を探し、性能要件を確認し、見積りを検討していました。
ところが、対象製品を調べれば調べるほど、施工費用が高くなっていく。
そこで、ふと考えたのです。
「あれ? 何のためにフィルムを貼るんだっけ?」
最初の目的は、窓の暑さを何とかすることだったはずです。
ところが、いつの間にか助成金の条件を満たす製品を探すことに、一生懸命になっていました。
お客様だけではありません。
私自身も、知らず知らずのうちに、その思考に引っ張られていたのです。
ここで、改めて問いかけたいと思います。
「いつの間にか、助成金を満額いただくことが本題になっていませんか?」
助成金を4万円受け取ることより、工事費を5万円抑える方が経済的かもしれません。
もちろん、その差額と引き換えに何を失う可能性があるのか、きちんと検討する必要はあります。
しかし、助成金を最大限利用することと、お客様の利益を最大化することは、必ずしも同じではないのです。
製品を選ぶための「目」と「知恵」
足立区と杉並区。
どちらの制度が優れているという話ではありません。
足立区は飛散防止、杉並区は省エネ。そもそも制度の目的が異なります。
大切なのは、その制度の内容によって、最も経済的な選択が変わるということです。
そして、もう一つ。
私たちは、単に助成対象製品を紹介することが施工店の仕事だとは考えていません。
第三者試験による裏付けがある製品を選ぶのか。
それとも、別の製品で必要な性能を確保し、経済性を優先するのか。
その判断には、製品の性能や耐久性、ガラスとの適合性、施工環境などを見極める「目」と、それらを総合的に判断する「知恵」が必要です。
安い製品を勧めることは簡単です。
高価な製品を勧めることも簡単です。
難しいのは、なぜその製品がお客様の窓に適しているのか、価格差やリスクまで含めて説明すること。
そこに、私たち専門業者の存在価値があると考えています。
お客様、当初の目的は何でしたっけ?
助成金は、上手に活用すれば大変ありがたい制度です。
私たちも積極的にご案内しています。
ただし、助成金を使うこと自体が目的になってしまっては、本末転倒です。
窓の暑さを和らげたいのか。
冬の寒さを改善したいのか。
それとも、ガラスの飛散を防ぎたいのか。
まずは、そこから考えたい。
そして、その目的を達成するために必要な性能と費用を整理し、助成金を利用する場合としない場合を比較する。
助成金をいくら受け取れるかではなく、必要な効果を、いくらで手に入れられるか。
私たちが大切にしたいのは、その順番です。
助成金の話が複雑になったときほど、原点に戻ってみませんか。
「お客様、当初の目的は何でしたっけ?」
その問いかけを、私自身にも忘れずにいたいと思います。
追記:助成金申請の、もうひとつの経済性
この記事を書き終えたところで、ちょうどお客様からご連絡をいただきました。
複数の製品について性能や費用を比較していただいた結果、助成対象となる高価格帯のフィルムをご採用いただくことになりました。
もちろん、お客様が納得して選ばれた結果ですから、私としてもうれしい限りです。
そして、もうひとつ。
「助成金の申請代行もお願いします」
ありがとうございます!
さて、申請書類をそろえて、杉並区役所まで行かなくてはなりません。
郵送でも申請できるのですが、せっかくお任せいただいたので、今回は窓口に直接提出しようと考えています。
書類作成、交通費、往復の移動時間……。
あれこれ計算しているうちに、ふと思いました。
「申請代行を引き受けない方が、経済的だったのでは?」
……どうやら、助成金の経済性について考える必要があるのは、お客様だけではなさそうです。😅
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