「高い技術力」って、何でしょう。
2026/10/12
きれいに貼る。その前に、私たちがやるべき仕事
こんにちは、Rossiです。
窓ガラスフィルム施工店のホームページを見ていると、
「高い技術力」
「確かな技術」
「技術には自信があります」
といった言葉をよく見かけます。
もちろん、言いたいことは分かります。
窓ガラスフィルムは、最後は人の手で施工するものです。
ゴミを入れない。
きれいにカットする。
大きなガラスにもきちんと貼る。
難しい施工条件でも、美しく仕上げる。
こうした能力は、とても大切です。
ただ最近、私は少し考えるようになりました。
これを全部「技術力」と呼んでいいのだろうか。
今回は、そんなお話です。
1.「施工技術」ではなく「施工技能」
私は、フィルムをきれいに貼る能力については、「施工技能」という言葉の方がしっくりきます。
技能とは、経験や訓練によって身につけた、実際に物事を行う能力です。
窓ガラスフィルムの施工には、間違いなく高い技能が必要です。
経験を積んだ職人の仕事を見ていると、簡単そうに見えることがあります。
でも、自分でやってみれば分かります。
簡単ではありません。
ですから私は、施工技能を軽く考えているわけではありません。
むしろ、施工技能は施工技能として、きちんと評価されるべき専門能力だと思っています。
では、そのフィルムを施工することが決まるまでの仕事はどうでしょう。
2.「何を貼るか」は誰が決めるのか
お客様から、
「暑いので遮熱フィルムを貼りたい」
というご相談をいただいたとします。
ここでカタログを開いて、
「遮熱フィルムはこちらです。どれにしますか?」
それでいいのでしょうか。
私は、まず「暑い」というご要望の中身を整理するところから始めます。
・西日が暑いのか。
・日中ずっと暑いのか。
・明るさはどこまで残したいのか。
・外から室内が見えることも気になっているのか。
・冬の断熱性能も求めているのか。
・ガラスは何が使われているのか。
同じ「暑い」でも、必要な対策は違います。
まず、お客様のご要望をできるだけ具体的にする。
そこから、必要な機能を洗い出します。
3.高価なフィルムが必要とは限りません
フィルムには、さまざまな機能があります。
遮熱、断熱、UVカット、飛散防止、目隠し、防犯など。
一枚で複数の機能を持つ製品もたくさんあります。
もちろん、多機能で高性能な製品が必要な窓もあります。
でも、お客様が必要としていない機能まで付いている製品を選ぶ必要はありません。
必要な機能をきちんと選択できれば、必要以上に高価な製品を購入する必要もない。
私はそう考えています。
だからこそ、「どの商品が一番高性能か」から考えるのではなく、
「この窓には何が必要なのか」から考えます。
4.選んだら終わりでもありません
必要な機能が分かったら、その条件に合う製品を選定します。
でも、候補となる製品にはそれぞれ違いがあります。
遮熱性能は高いけれど、室内が少し暗くなる。
透明性は高いけれど、期待できる遮熱効果には限界がある。
目隠し効果は高いけれど、夜間は逆転する。
性能的には適していても、ガラスとの組み合わせによっては熱割れリスクを考えなければならない。
メリットだけではありません。
リスクやデメリットも含めて説明する。
その説明を聞いていただいたうえで、もう一度、
「では、何を一番優先しますか?」
とご要望を確認する。
最初に伺ったご希望と、説明を聞いた後のご希望が変わることも珍しくありません。
そこで初めて、私たちから具体的なご提案ができます。
5.施工は、そのあとです
整理すると、
ご要望を言語化する。
必要な機能を洗い出す。
ガラスや窓の条件を確認する。
候補となる製品を選定する。
それぞれのメリットとリスクを説明する。
もう一度、ご要望を確認する。
そして提案する。
施工は、そのあとです。
もちろん、この一連の仕事をするためには相応の知識が必要です。
フィルムだけ知っていればいいわけでもありません。
ガラスの種類や構造、性能値の意味、熱割れ、施工条件、場合によっては関連する法規や助成制度まで必要になることがあります。
知らないことをメーカーに確認するのも当然です。
カタログも使います。
ただし、
メーカーから得た情報やカタログに書かれた数字は、判断するための材料です。
最後に目の前の窓を見て、考え、選び、お客様へ提案するのは施工店の仕事だと思っています。
6.では、「技術力」とは何でしょう
ここまで書いておいて何ですが、私にも「技術力」のきれいな定義は分かりません。
・知識なのか。
・判断する能力なのか。
・製品を選定する能力なのか。
・提案する能力なのか。
・施工技能なのか。
おそらく、その全部をまとめて便利に「技術力」と呼んでいるのでしょう。
ただ私は、それぞれを一緒にしてしまいたくありません。
高い施工技能を持っていることと、適切なフィルムを選定できることは、別の能力です。
どちらも必要です。
きれいに貼ることは、とても大切です。
でもその前に、「何を、なぜ貼るのか」を考える仕事があります。
私たちは、そこから窓ガラスフィルム施工店の仕事は始まっていると考えています。
だから、「高い技術力が自慢です」
ではなく、
何を考え、どう判断し、なぜその提案をするのか。
それを一つずつお客様にお伝えできる施工店でありたいと思っています。
-Rossi
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