「貼ってあることに気づかれない」が一番うれしい仕事
2026/05/25
こんにちは
木村です
2025年12月、江戸東京博物館 改修工事に関連した、ショーケース用低反射フィルム施工に携わりました。
最近リニューアルオープンされたこともあり、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
博物館では、主役はあくまで展示物です。
そのため、ショーケースのガラスには「できる限り映り込みを抑える」という役割が求められます。
照明や人影がガラスに映り込んでしまうと、展示物そのものが見えづらくなってしまうためです。
実際、展示をご覧になった方の中には、
「フィルムが貼ってあったこと自体、気づかなかった」
という方も多かったのではないかと思います。
でも施工する側としては、むしろそれが一番うれしかったりします。
「フィルムの存在を感じさせない」
それだけ自然に展示物をご覧いただけた、ということでもあるからです。
実は“両面施工”しています
今回のショーケースは、低反射フィルムを片面だけではなく、両面に施工しています。
実はガラスの反射というのは、手前側だけでなく、奥側の面でも発生しています。
一般的な透明ガラスでは、全体で約8%前後の反射がありますが、これは表面側・裏面側でそれぞれ約4%ずつ反射しているイメージです。
そのため、片面だけ低反射化しても、もう片側の反射は残ります。
展示用途のように、できる限り映り込みを抑えたい場合には、両面施工によってさらに反射を低減させることがあります。
もちろん、すべてのガラスに両面施工が必要というわけではありません。
ただ、博物館のように「展示物をできるだけ自然に見せる」ことを重視する環境では、こうした細かな積み重ねが意外と大切だったりします。
数字だけでは分からない世界
窓ガラスフィルムは、遮熱率やUVカット率のような「数値」で語られることが多い世界です。
もちろん性能値も大切ですが、実際の現場では、
何を主役にするのか
どこまで自然に見せたいのか
どんな空間を目指すのか
といった部分まで含めて考える必要があります。
今回の施工でも、「フィルムを目立たせる」のではなく、
“展示物を自然に見てもらう”
という考え方を大切にしながら施工を行いました。
こういった経験も、今後の施工やご提案に活かしていければと思っています。
ちなみに今回のショーケースには、青みの少ない高透過ガラスが採用されていました。
一般的なガラスは、厚みが増すほどわずかに青緑っぽく見えることがありますが、高透過ガラスはその色味を抑え、展示物本来の色をできるだけ自然に見せやすい特徴があります。
さらに、高透過ガラスと低反射フィルムを組み合わせることで、映り込みを抑えながら、より自然な見え方になっています。
もし今後、江戸東京博物館 へ行かれる機会がありましたら、ぜひショーケースの“映り込み”にも少し注目してみてください。
そのガラスには「存在を感じさせないため」の工夫が静かに込められています。
※展示施設のため、施工写真の掲載は控えております。
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