地震と台風では、ガラスの破損メカニズムが異なります
2026/09/07
こんにちは、Rossiです。
窓ガラスの飛散防止フィルムについてご相談をいただくと、
「地震対策として貼りたい」
「台風が心配なので貼っておきたい」
というお話をよく伺います。
どちらも、ガラスが割れたときの飛散を抑えるという意味では「飛散防止」です。
ただ最近、私はお客様に地震と台風を分けて説明するようにしています。
なぜなら、
地震と台風では、ガラスが破損するメカニズムが異なるからです。
同じ「ガラスが割れる」でも、ガラスに加わっている力は同じではありません。
そして当然、フィルムに求められる性能も変わってきます。
地震では、建物の変形によってガラスが割れることがあります
地震のとき、建物は左右に揺れます。
その際、各階には**「層間変位」**と呼ばれる変形が生じます。
少し難しい言葉ですが、簡単にいえば、建物が揺れることで上下の階に水平方向のズレが生じることです。
それに伴って窓の開口部やサッシも変形します。
ガラスはサッシの中に納まっていますから、その変形が大きくなれば、ガラスの端部が枠に接触するなどして破損することがあります。
つまり地震の場合、
何かがガラスにぶつかって割れるのではなく、建物やガラス枠の変形によって割れる。
ここがポイントです。
飛散防止フィルムには、ガラスが破損したあともガラス片を保持しながら、こうした枠の変形に追従することが求められます。
一般的な50μm(0.05mm)程度の飛散防止フィルムでも、このような地震時の変形に追従する性能があります。
そのため、地震によるガラス飛散防止を主な目的とするのであれば、私は一般的な50μmクラスを基本として考えています。
台風は、少し話が違います
では台風の場合はどうでしょう。
「強い風でガラスが押されて割れる」
そんなイメージを持たれる方もいるかもしれません。
もちろんガラスには風圧がかかります。
しかし建築物の窓ガラスは、もともと風圧力を受けることを前提として、ガラスの種類や厚さなどが設計されています。
適切に設計・施工されている窓であれば、通常は想定された風圧だけで簡単にガラスが破損するようにはつくられていません。
台風時にもうひとつ考えなければならないのが、
飛来物です。
飛来物は、ガラスの正面からぶつかってきます
台風の強風によって物が飛ばされ、それが窓ガラスに衝突する。
これは地震による破損とはまったく違います。
地震では、主に窓枠が面内方向へ変形します。
一方、飛来物はガラス面に対して面外方向から衝撃を加えます。
そこで重要になってくるのが、
「耐貫通性能」
です。
もっと簡単にいえば、
ぶつかった物が、ガラスを突き抜けようとする力にどこまで耐えられるか。
という性能です。
私が以前在籍していた会社の研究所では、フィルムの耐貫通性能は、基本的にフィルムの厚みにほぼ比例して高くなるという見解でした。
50μmより100μm。
100μmより、さらに厚いフィルム。
厚くなるほど、飛来物による衝撃に対する耐貫通性能は高くなります。
だから当社では、飛散防止フィルムを厚み別にご紹介しています。
台風時の飛来物まで考えるなら、100μm以上をおすすめしています
地震対策を中心に考えるのであれば、一般的な50μmクラス。
一方、台風時の飛来物によるガラス破損まで考えたいという場合には、私は100μm以上の厚手フィルムをおすすめしています。
一般的な50μmクラスより耐貫通性能が高く、ガラスが破損した際にも、より高い飛散防止効果を期待できるからです。
ただし――
ここは、とても大切なところです。
「100μm以上なら、台風時の飛来物にも大丈夫」という意味ではありません。
台風では「何が飛んでくるか」が分かりません
これが、台風対策を説明するときに一番難しいところです。
飛来物と一口にいっても、
小さな物なのか。
木の枝なのか。
瓦なのか。
傘なのか。
物の重さも形も違いますし、衝突する速度も違います。
当然、ガラスが受ける衝撃も大きく変わります。
実際の台風では、
「この窓には、この大きさの物が、この速度で飛んできます」
などと事前に決めることはできません。
ですから私は、
「この厚みのフィルムを貼れば、台風時の飛来物にも大丈夫です」
とは説明していません。
厚手のフィルムにすることで耐貫通性能を高めることはできます。
しかし、あらゆる飛来物から窓を守れるわけではありません。
ここは分けて考える必要があります。
同じ台風でも、窓の環境によって考え方は変わります
さらに、同じ台風対策でも、すべての窓を同じように考える必要があるとは限りません。
例えば、建物の1~2階と3階以上では、窓の周囲の環境も違います。
近くに何があるのか。
どのくらいの高さの窓なのか。
周囲に飛ばされそうな物があるのか。
そして、
雨戸やシャッターがあるのか。
こうした条件によっても考え方は変わります。
特に雨戸やシャッターがあるのであれば、台風接近時にはまずそれを使用してください。
フィルムは、雨戸やシャッターの代わりになるものではありません。
なぜ飛散防止フィルムには、いろいろな厚みがあるのか
飛散防止フィルムを見ると、
「50μmより100μmの方が上位品」
「厚ければ厚いほどいい」
と思われるかもしれません。
でも、私は少し違う考え方をしています。
何に備えたいのかによって、必要な性能が違う。
地震による層間変位を想定するのか。
台風時の飛来物による面外衝撃まで考えるのか。
それによって、フィルムに求められる役割が変わります。
だから当社では、飛散防止フィルムを厚み別にご紹介しています。
厚いものをおすすめしたいからではありません。
何に備えるのかによって、選択肢が変わるからです。
飛散防止フィルムの厚みによる違いや、当社で取り扱っているフィルムについては、こちらでもご紹介しています。
▶ 飛散防止フィルムの種類・厚みについて詳しくはこちら
飛散防止フィルムは「ガラスを割れなくするもの」ではありません
最後に、これはぜひ知っておいていただきたいことです。
飛散防止フィルムを貼ったからといって、
ガラスそのものが割れなくなるわけではありません。
地震で窓枠が大きく変形すれば、ガラスは割れることがあります。
台風で飛来物が衝突すれば、ガラスは割れることがあります。
飛散防止フィルムの基本的な役割は、ガラスが破損した際に、危険なガラス片が飛び散ることを抑えることです。
そして飛来物まで想定する場合には、そこに耐貫通性能という別の要素も加わります。
同じ「飛散防止フィルム」という名前でも、
地震と台風では、フィルムに求めている仕事が少し違うんです。
だから、
「何μmのフィルムが一番いいですか?」
と聞かれたら、私たちはまず、
「何に備えたいですか?」
から考えます。
フィルムの厚みを決めるのは、そのあとです。
-Rossi
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