高伸プランニング株式会社

断熱フィルムとプラシーボ効果

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断熱フィルムは意味ない? ― プラシーボ効果と、期待できる効果の本当の話

断熱フィルムは意味ない? ― プラシーボ効果と、期待できる効果の本当の話

2026/09/28

 

こんにちは、Rossiです。

突然ですが、皆さんは「プラシーボ効果」という言葉をご存じでしょうか。

有効成分を含まない偽薬であっても、「効く」と期待することで、痛みなどの症状が改善することがある現象です。

人間の感じ方には、期待が影響することがあります。

では、窓ガラスフィルムの世界ではどうでしょうか。

今回は、断熱フィルムを例に、少し踏み込んだお話をしたいと思います。

 

1.高いお金を払ったのだから、効かないわけがない

断熱フィルムの施工には、それなりの費用がかかります。

数万円、施工面積によっては十数万円になることもあります。

決して安い買い物ではありません。

そして施工後、お客様はこう感じるかもしれません。

「去年より暖かくなった気がする」

もちろん、実際に断熱フィルムの効果を感じている可能性はあります。

ただ、ここで少し考えてみたいのです。

高いお金を払って貼った断熱フィルム。

効かないわけがない。

いや、効いてくれなければ困る。

そう思うのが人情ではないでしょうか。

自分が選んだ商品に期待することは、ごく自然な心理だと思います。

厳密には、購入した商品を肯定的に評価したくなる心理と、プラシーボ効果は同じものではありません。

また、断熱フィルムによる体感の変化がプラシーボ効果だと申し上げているわけでもありません。

ただ、私たちの感じ方や評価には、期待が影響する可能性があります。

まずは、そのことを考えてみたいのです。

 

2.「暖かくなりました」というお客様の声

施工業者にとって、お客様からいただく感謝の言葉はうれしいものです。

「暖かくなりました」

「以前より快適になりました」

そんな言葉をいただけば、施工してよかったと思うでしょう。

そして、その感想をホームページに掲載する。

「施工後、暖かくなったとのお声をいただきました」

これ自体は、決して不自然なことではありません。

しかし、私は少し気になるのです。

その「暖かくなりました」は、何を根拠にした評価なのでしょうか。

実際に断熱性能が向上したことによるものなのか。

外気温や暖房の使用状況が違っていたのか。

あるいは、期待が感じ方に影響した部分もあるのか。

お客様の感想だけでは、その内訳までは分かりません。

もちろん、暖かく感じたという体験を否定するつもりはありません。

室温に大きな変化がなくても、窓付近の放射環境などが変われば、暖かく感じる可能性もあります。

ただし、体感だけで断熱性能の改善量を判断することはできないのです。

 

3.その声が、次のお客様の期待を生む

ここからが、今回もっとも考えてみたいところです。

あるお客様が、断熱フィルムを施工して暖かくなったと感じる。

業者は、その感想をホームページに掲載する。

次のお客様が、それを読む。

「これだけ暖かくなったと言っている人がいるのだから、うちも暖かくなるはずだ」

そう期待して施工を依頼する。

そして施工後、また「暖かくなりました」という感想が寄せられる。

その声が、新たな実績として積み上げられていく。

そんな循環が生まれる可能性はないでしょうか。

私は、業者が意図的に誇張していると言いたいわけではありません。

お客様も業者も、本当に効果があったと考えているのかもしれません。

しかし、その過程で客観的な検証が行われていなかったとしたら、どうでしょう。

お客様の主観的な満足が、いつの間にか製品の性能を裏付ける実績のように扱われてしまう。

私は、そこに注意が必要だと考えています。

お客様の声は大切です。

しかし、お客様の満足度を示す資料と、製品の性能を証明するデータは別のものです。

これは断熱フィルムだけの問題ではありません。

遮熱、防犯、飛散防止など、ほかの窓ガラスフィルムについても、同じことが言えると思います。

 

4.だからこそ、当社では実証試験を行いました

断熱フィルムには、室内からの放射熱の移動を抑える働きがあります。

その性能自体を否定するつもりはありません。

ただし、製品に断熱性能があることと、実際の住宅でどの程度の効果を期待できるかは別の問題です。

当社では、その違いを確かめるため、断熱フィルムの実証試験を行いました。

使用したのは、リフレシャイン TW36Aです。

フィルムを施工したガラスと未施工のガラスを比較し、試験箱内部の空気温度などを測定しました。

さらに、試験方法を見直して再検証も行いました。

しかし、結果はどうだったでしょうか。

試験箱内部の空気温度には、明確な差を確認できませんでした。

一方、ガラス上面温度には最大約1.5℃の差が見られました。

ただし、この結果だけで住宅全体の断熱効果を評価することはできません。

簡易的な試験装置には限界があります。

今回の結果をもって、断熱フィルムには効果がないと結論づけることもできません。

しかし、少なくとも当社の試験では、箱内温度の明確な改善を示すことはできなかったのです。

期待した結果が得られなかったとしても、結果は結果です。

都合のよい部分だけを取り上げるのではなく、確認できなかったことも含めて公表する。

それが、私たちの考える実証試験です。

詳しい試験条件と結果は、こちらで公開しています。

断熱フィルム実証試験 Vol.2

 

5.では、結露防止効果はどうでしょうか

断熱フィルムには、結露抑制効果を期待される方もいらっしゃいます。

「断熱フィルムを貼ったら、結露が減りました」

そんな感想もあるかもしれません。

ただし、結露は暖かさという体感とは異なり、実際に目で確認できる現象です。

したがって、ここからはプラシーボ効果とは別の問題になります。

結露が減ったという観察結果と、断熱性能によって結露が減ったという因果関係は、同じではありません。

当社では、結露についても簡易的な比較試験を行いました。

四角柱グラスの4面に、それぞれ異なる条件を設定しました。

  • ① フィルムなし
  • ② 断熱フィルム
  • ③ 遮熱フィルム
  • ④ UVカットフィルム

室温22.6℃、湿度51%の環境で、グラスに氷水を入れ、表面の状態を25分間観察しました。

その結果、5分後には4面すべてがうっすらと曇りました。

10分後には、フィルムなしの面で水滴が目立ち始めましたが、フィルムを施工した面ではミスト状の状態が続きました。

25分後には、フィルムなしの面で水滴が連続的に流れる一方、フィルムを施工した面では、一部に水滴の流下が見られるものの、おおむねミスト状の状態を維持していました。

ここで注目したいのは、断熱フィルムだけではありません。

遮熱フィルムやUVカットフィルムでも、おおむね同様の結果が見られたのです。

つまり、この試験だけでは、観察された違いを断熱性能によるものと結論づけることはできません。

フィルム表面の性質によって、水滴の付き方や広がり方が変わった可能性も考えられます。

また、フィルムを施工した面でも、結露そのものは発生しています。

今回の試験は、実際の住宅環境を完全に再現したものではありません。

この結果だけで、住宅における結露抑制効果の有無や程度を判断することはできないのです。

「水滴の状態が違った」ことと、「断熱性能によって結露が抑えられた」ことは、分けて考える必要があります。

詳しい経過観察は、こちらで公開しています。

断熱フィルムの結露抑制効果に関する実証試験

 

6.「効果がある」と「どの程度の効果がある」は別の話

断熱フィルムの性能を評価する指標の一つに、熱貫流率があります。

これは、ガラスなどを通して、温度差によってどの程度の熱が移動するかを示す数値です。

数値が小さいほど、熱を通しにくいことを意味します。

しかし、熱貫流率が改善したからといって、室温が同じ割合で上昇するわけではありません。

住宅全体の断熱性能、窓の面積、外気温、暖房条件など、さまざまな要素が関係するからです。

結露についても同様です。

室内の温度や湿度、外気温、ガラス表面温度などの条件によって、発生状況は変わります。

だからこそ、

「暖かくなりました」

「結露が減りました」

という感想や観察結果を、そのまま製品の性能を証明するデータとして扱うことには慎重でありたいのです。

効果があることと、どの程度の効果を期待できるかは別の話です。

そして、ある変化が確認できたとしても、それが何によって生じたのかを考える必要があります。

 

7.お客様の声を疑うのではなく、お客様の声だけに頼らない

誤解していただきたくないのですが、私はお客様の体感や満足を軽視しているわけではありません。

快適になったと感じていただけたのであれば、それは大切な評価です。

ただ、その評価を製品の性能を証明するデータとして扱うことには慎重でありたいのです。

これは、当社自身にも向けた問いかけです。

私たち施工業者は、お客様からいただいた好意的な評価を、都合よく性能の証明として扱ってはいないでしょうか。

体感は体感。

満足度は満足度。

性能は性能。

そして、実際の住環境でどの程度の効果が得られるのか。

それぞれを分けて考えることが大切だと思います。

断熱フィルムが適している窓もあれば、内窓など、別の対策を検討した方がよい場合もあります。

私たちは、フィルムを貼ること自体を目的にはしていません。

その窓に何が必要なのか。

そもそもフィルムが必要なのか。

そこから考えるのが、高伸プランニングの仕事です。

 

そして最後に、少しだけ本音を。

こんなことばかり言っているから、当社では断熱フィルムがなかなか売れないのかもしれません(笑)

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高伸プランニング株式会社
住所 : 東京都足立区千住仲町19−2 ホワイトハイム 303
電話番号 : 03-5284-7680


東京の冬を少しでも快適に。断熱性能を正しく理解したうえでご提案します。

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